ART FOR IT
Art Project / 2015 -
http://artforit.hikino-maho.com/
プリンター、紙、プロジェクター、スピーカー、メディア再生機
Printer, paper, projector, speaker and media player
http://artforit.hikino-maho.com/
プリンター、紙、プロジェクター、スピーカー、メディア再生機
Printer, paper, projector, speaker and media player
Award:
2016「ART FOR IT」『コニカミノルタ ソーシャルデザインアワード2016』入賞 2015「ART FOR IT」『のせでんアートライン妙見の森2015 』(アートビエンナーレ) 公募選出 Exhibit: のせでんアートライン 妙見の森 2015 Noseden Art Line 2015 (Art Biennale, Hyogo, Japan) @Wedge Gallery, Japan 10th Oct to 23rd Nov, 2015 @ギャラリー川西(アステ市民プラザ), Japan 20th Oct to 3rd Nov, 2015 @ギャラリー川西 20th Oct to 3rd Nov, 2015 |
概要:
2013年から暮らしてきたNYの街角、旅行で訪れた台湾、シアトル、バンクーバー、ドイツ、アムステルダム、ウィーン、そして日本でも、私は街の中で「ART」いう文字を見つけるたび、必ず写真を撮ってきた。現在ストックは1000枚ほど有り、今後もどんどん増えていくだろう。 本展示『ART FOR IT』では、会場に設置されたプリンターがそれらの写真を印刷し続けた。会期中「ART」を示した写真は増え続け、次々と折り重なっていく。会場来場者は、そのプリントをどれでも持ち帰ることができる。 また、世界中誰からでも、インスタグラムや『ART FOR IT』投稿ページから「ART」という文字を含んだ写真を投稿すると、即時に会場でプリントアウトされ作品の一部となる。 私(と鑑賞者)の中に、無意識に無差別に集まっていく雑多な「ART」たちは、そこに何らかの経過、私の知らない記号、見えなかった意味を示すだろうか。 http://artforit.hikino-maho.com/ ”ART FOR IT” は、アーティスト自身の視線だけではなく、多くの方々からの協力:日常への気付きとその切り取りを必要とする。「ARTとは何か」という果ての無い問いは、ただ一人からの視点や思いから正解をだせるものでなく、多角的な視点の共有とその差異の露呈こそが、私たちの現代を、アートを考えるすべだからである。 私はこの”ART FOR IT”を、永続的な参加型アートプロジェクトとして展開していく。 “ART FOR IT” is a participatory online art project by artist; MAHO HIKINO. This online art project aims to be a place to stock the images of landscape including the word “Art” come across in our daily lives. I intend it to be a space to hold not just the images, but also took record the names of those who find them, and the date and location of the find. For this 2 years, I make a rule of taking photos whenever find the word “Art” in the city I live or visit. It became my life work and experimental art to explore unknown histories and the theoretical and cultural implications of “Art”. I hope this art project will be grown up with participants from all around the world. You can post your photos though Instagram tagged with #Artforit, or the submission form. Automatically your posting will be published on this website, Facebook page and Instagram tagged page. And during the exhibition be held, immediately it will printing out at gallery space as a part of “ART FOR IT” installation work. http://artforit.hikino-maho.com Visit the site & send your photos of landscape including the word "Art", to be a part of "ART FOR IT". “ART FOR IT"のコンセプトノート NYに住み始めてすぐの頃、私は街を歩くと次々と目に飛び込んでくる「ART」という文字に違和感を感じた。
私はART=芸術と思っていたけど、どうやらこの街では違うみたいだ。 近年の日本でも流行りの「アート」という言葉とも、この街の「ART」はズレている。 美術館や博物館の窓ガラス、5番街のショーウィンドウ、地下鉄に貼られたポスター、 チャイナタウンの曇った色のビル、工場のうす汚い壁、すれ違った人のTシャツ、、、 「ART」という言葉は何を意味しているのか? なにを含んで、何を含まないのか?この街に溢れている「ART」に触れれば触れるほど、私の知っている「ART」とズレていく感じがした。 そこに含まれるものが違う。人々が会話の中で漂わせる臭いみたいなのも違う。しかも徐々に言葉の意味は変わっていくものだし、人によっても違う。 訳すことができない、その国の文化や空気が生み出していく言葉の意味。 「ART」の意味が分からない。掴めない。「ART」は、私にとって一番大切なものであったはずなのに。 NYで暮らしながら、私は、ぶつかり続けた。 文化の壁を感じたり、制作がうまくいかなかったり、言葉が思うように使えなかったり、アイデンティティが曖昧になったり、、 毎日毎日その戦い。自分がココにいる、その意味を問い直す。 でも苦しいと思った経験に、心に引っ掛かったその感覚に、蓋をしないで、アーティスト目線で立ち向かうことが、きっと幸せな結果を生むはずだ。 私達が日々大きなストレスを感じて、追いつめられ必死になっていることも、今ココでしか作れない作品という形で追求できれば面白い。 NYに来て1年を過ぎた頃、私は行き詰まり、制作をしても何をしても、すべてがズレているような気持ちがして、「ART」なんてどうでもいいと泣いた。 そういう日、街の中で「ART」いう文字を見つけて、スマートフォンで撮った。使い道は別に決めていなかった。 「ART」をもう一度好きになるためのリハビリのように思えた。 必ず写真を撮ることを決めた。 そのうちにそれは習慣となり、道を歩く時は自然と「ART」を探し、写真を撮るようになっていた。 日本に戻った今も、日常的に「ART」を探している。「ART」という言葉は、未だに、私の知らない顔を見せてくる。 このインスタレーションを通して、私の中に、この2年間無意識に無差別に集まってきた、そしてまた日々増え続ける雑多な「ART」たちを、改めて眺めている。「ART」たちは、そこに何らかの経過を、私の知らない記号を、何らかのストーリーを意味するだろうか。 HIKINO MAHO 2015 |